日本における食品添加物の数や規制は、厳しく管理されています。食品添加物は、食品を加工・保存・調整するために用いられる物質で、厚生労働省が安全性を確認したもののみが使用許可されています。
食品添加物の種類と数
日本で認可されている食品添加物は、約1,500種類以上あります。これには、合成添加物、天然由来の添加物、および指定外添加物が含まれています。
- 指定添加物: 約470種類
- 厚生労働大臣が安全性を確認し、法的に使用が許可された添加物。合成のものが多いですが、天然由来のものも含まれます。
- 例: ソルビン酸カリウム(保存料)、グルタミン酸ナトリウム(うま味調味料)
- 既存添加物: 約365種類
- 既に伝統的に使われてきた天然由来の添加物で、長い使用実績があるもの。法律の施行前から使用されており、安全性が認められています。
- 例: 昆布由来のうま味成分、重曹
- 天然香料: 約600種類
- 植物や動物から得られる天然の香料成分で、食品の風味や香りを増強するために使われます。
- 例: バニラエッセンス、レモン香料
- 一般飲食物添加物: 約100種類
- 日常的に摂取される食品が添加物として使用される場合もあります。これには調味料や甘味料が含まれます。
- 例: にがり、卵殻カルシウム
食品添加物の用途
食品添加物は、大きく6つの用途に分類されます。
- 保存料:
- 食品の腐敗を防ぎ、保存期間を延ばすために使用されます。
- 例: ソルビン酸、ベンゾ酸ナトリウム
- 甘味料:
- 甘味を加えるために使用される添加物。砂糖の代替として使われることも多いです。
- 例: アスパルテーム、スクラロース、ステビア
- 着色料:
- 食品に色をつけるために使用されます。合成着色料と天然着色料があります。
- 例: タール色素(合成)、クチナシ色素(天然)
- 香料:
- 食品の香りを強化したり、特定の香りを付加するために使われます。
- 例: バニラエッセンス、メンソール
- 乳化剤:
- 油と水を均一に混ぜ合わせるために使用される添加物です。
- 例: レシチン、モノグリセリド
- 調味料:
- うま味や酸味、苦味などを調整するために使用されます。
- 例: グルタミン酸ナトリウム、クエン酸
食品添加物の規制
日本では、食品添加物の安全性について以下のような厳格な規制があります。
- 食品衛生法: 食品添加物は厚生労働省が定める基準に従い、使用量や使用範囲が細かく定められています。添加物の使用は、安全性が確認されたもののみが許可されています。
- 指定制度: 新しい添加物を使用する際には、科学的根拠に基づいた安全性評価が行われ、厚生労働大臣の許可が必要です。
- 使用基準と表示義務: 食品に使用される添加物は、その使用量や使用目的に基づいて制限されており、消費者に対して透明性が求められます。食品添加物が使われている場合、商品ラベルに明記される必要があります。
食品添加物の安全性と課題
食品添加物の安全性は、日本だけでなく世界中で評価されており、WHOやFAO(国連食糧農業機関)も関与しています。一般的に認可されている添加物は、規定量の範囲内で使用される限り、健康に悪影響を及ぼすことはないとされています。
しかし、いくつかの食品添加物については、その長期的な使用や過剰摂取が健康に与える影響に対する懸念もあります。消費者が自然な食品を好む傾向が強まり、食品業界でも添加物を減らす取り組みが進んでいます。
日本の食品添加物は、歴史的な背景とともに、安全性を確保しつつ使用されています。消費者としては、食品表示を確認し、自分の健康や嗜好に合った食品を選ぶことが重要です。